韓国や中国、タイ、欧米などで見つけた化粧品を、日本で販売したいと考える事業者が増えています。
海外ならではの成分やデザイン、ブランドコンセプトは、日本の消費者にとって新鮮な魅力になる可能性があります。
しかし、海外で販売されている化粧品を仕入れ、そのまま日本で販売できるとは限りません。
販売を目的として海外コスメを輸入する場合は、薬機法に基づく許可や届出、成分確認、日本語表示、品質管理などが必要です。
本記事では、個人輸入と販売目的の輸入の違い、海外コスメを日本で販売するための手続き、自社で輸入する際の注意点について解説します。
1. 海外コスメの輸入販売が注目される理由
海外コスメは、日本にはない商品コンセプトやパッケージ、成分設計などを取り入れられることから、新しいブランドや商品の選択肢として注目されています。
特に韓国、中国、タイなどのアジア圏では、SNSとの親和性が高いデザインや、現地の美容トレンドを反映した商品が数多く開発されています。
欧米コスメでは、ブランドの思想やライフスタイルを前面に出した商品、ヴィーガンや自然由来成分などを特徴とする商品も見られます。
①国内商品との差別化を図りやすい
海外で人気の商品を日本で展開することで、国内ブランドとは異なる特徴を打ち出せる可能性があります。
日本ではまだ知られていない成分や剤形、使用方法などが、商品の独自性につながることもあります。
一方、海外で一般的に使用されている成分であっても、日本の化粧品基準に適合するとは限りません。
海外で販売できることと、日本で化粧品として販売できることは別の問題です。
②SNSを通じて需要を確認しやすい
海外ブランドは、Instagram、TikTok、YouTubeなどを通じて、日本で正式販売される前から注目されることがあります。
現地での人気や口コミを確認できるため、輸入前に日本市場での需要を検討しやすい点はメリットです。
ただし、SNSで人気があることだけを理由に大量に仕入れると、日本の法規制に適合せず、販売できない可能性があります。
輸入契約や発注を行う前に、成分や表示、商品の区分を確認することが重要です。
③商品開発にかかる期間を短縮できる場合がある
完成した海外製品を輸入する場合は、ゼロから処方を開発する場合と比べて、商品化までの期間を短縮できることがあります。
ただし、日本向けの処方変更や容器変更、日本語ラベルの制作などが必要になれば、その分の期間や費用がかかります。
日本では使用できない成分が配合されている場合は、現地メーカーに処方変更を依頼しなければならないこともあります。
2. 個人輸入と販売目的の輸入の違い
海外コスメの輸入を考える際は、「個人輸入」と「販売目的の輸入」を区別する必要があります。
個人輸入とは、原則として個人が自分で使用するために海外から商品を取り寄せることです。
一方、輸入した化粧品を店舗やECサイトで販売したり、第三者へ譲渡したりする場合は、販売目的の輸入に該当します。
①個人輸入した化粧品は販売できない
個人使用として輸入した化粧品を、フリマアプリ、ECサイト、店舗、SNSなどで販売することはできません。
無料のプレゼントやサンプルとして第三者へ配布する場合も、販売目的の輸入と同様に薬機法上の確認が必要になる可能性があります。
税関は、化粧品を業として輸入する場合、薬機法に基づく製造販売業などの許可を受けた者でなければならないと案内しています。(関税庁)
少量の輸入であっても、販売や事業利用が目的であれば、個人輸入として扱うことはできません。
②数量が少なければ販売できるわけではない
個人輸入では、一定数量の範囲内で手続きが簡略化される場合があります。
しかし、この数量は本人が使用することを前提としたものです。
「少量だから販売してもよい」「個人名義で輸入すれば許可がいらない」という意味ではありません。
販売目的であれば、輸入数量にかかわらず、必要な許可や届出を確認する必要があります。
③個人事業主でも法的手続きを省略できない
「個人では輸入販売できない」と説明されることがありますが、正確には、個人輸入した商品をそのまま販売できないという意味です。
個人事業主であっても、許可要件を満たして必要な許可を取得する、または許可を持つ製造販売業者へ業務を委託することで、輸入販売を行える場合があります。
ただし、許可取得には人的要件や設備、品質管理、安全管理の体制などが求められるため、商品を仕入れるだけで始められる事業ではありません。
3. 海外コスメを販売するために必要な許可
海外から化粧品を輸入し、日本で市場へ出す事業者には、原則として化粧品製造販売業の許可が必要です。
製造販売業者は、単に商品を輸入する事業者ではありません。
日本国内で販売される商品の品質や安全性に責任を持ち、市場への出荷可否を判断する役割を担います。
①化粧品製造販売業許可
化粧品製造販売業許可は、化粧品を日本国内の市場へ出荷するための許可です。
許可を取得するには、品質管理を行うGQPと、販売後の安全管理を行うGVPに対応した体制を整える必要があります。
また、一定の要件を満たす総括製造販売責任者を配置する必要があります。
事務所を用意して申請すれば取得できるものではなく、責任者、手順書、記録、品質管理体制などが審査されます。
②化粧品製造業許可
輸入した化粧品に、日本国内でラベルを貼る、包装を変更する、検品する、保管するなどの工程を行う場合は、作業内容に応じて化粧品製造業許可を持つ施設が必要です。
海外で完成品として製造された商品であっても、日本語ラベルを国内で貼付する工程は、薬機法上の製造行為に該当する場合があります。
そのため、許可のない一般的な事務所や倉庫で、輸入後に自由にラベルを貼ればよいとは限りません。
③化粧品製造販売届
一般的な化粧品は、製品ごとに承認を受ける仕組みではなく、製造販売を開始する前に販売名などを届け出ることが基本です。
輸入品の場合は、輸入先の国名、海外の製造業者、海外で使用されている販売名なども確認します。
厚生労働省の通知では、実際に製造または輸入する前に、個々の製品について販売名を届け出る取り扱いが示されています。
④外国製造業者に関する届出
海外の工場や事業者について、化粧品外国製造業者届書または化粧品外国製造販売業者届書が必要になる場合があります。
現地メーカーから正確な会社情報や工場情報を取得できなければ、手続きを進められない可能性があります。
4. 海外コスメを日本で売るための3つのステップ
海外コスメを日本で販売する際は、許可を持つ事業者を決めたうえで、成分確認、日本語表示、輸入・通関の順に進めます。
ここでは、実務上の主な流れを3つのステップに分けて解説します。
①日本の化粧品基準に適合するか成分を確認する
最初に、輸入する商品の全成分と配合量を海外メーカーから取得します。
成分表には、商品パッケージに記載されている名称だけでなく、各成分の正式名称、配合目的、配合量などの情報が必要になる場合があります。
確認する主な項目は次のとおりです。
・日本で化粧品への配合が禁止されている成分がないか
・配合量に上限が設けられている成分がないか
・防腐剤、紫外線吸収剤、タール色素などが基準に適合しているか
・医薬品や医薬部外品に該当する成分・効能ではないか
・日本で化粧品として認められる使用方法か
・成分の安全性や品質を確認できる資料があるか
日本の化粧品基準では、配合禁止成分や配合制限成分などが定められています。
海外メーカーから配合量を開示してもらえない場合、日本への輸入販売が難しくなることもあります。
商品の仕入れ契約を結ぶ前に、日本向けの成分資料を提供してもらえるか確認することが重要です。
化粧品ではなく医薬部外品に該当する場合がある
海外ではコスメとして販売されていても、効能や成分によっては、日本で医薬部外品や医薬品に該当する可能性があります。
例えば、育毛、ニキビの防止、美白などの効能を標榜する商品は、化粧品としてそのまま販売できるとは限りません。
医薬部外品に該当する場合は、原則として品目ごとの製造販売承認が必要となり、一般化粧品とは手続きが異なります。
②日本語の法定表示ラベルを作成する
日本で化粧品を販売する際は、薬機法などに基づく表示を、日本の消費者が確認できるように記載します。
一般的に確認が必要な表示項目には、次のようなものがあります。
・販売名
・内容量
・全成分
・製造販売業者の名称と住所
・製造番号または製造記号
・使用期限が必要な製品の使用期限
・使用上または保管上の注意
・原産国名
・問い合わせ先
全成分は、原則として邦文名を使用し、配合量の多い順に表示します。
厚生労働省の通知でも、成分名称を邦文名で記載し、原則として配合量の多い順に表示する方法が示されています。
海外パッケージに英語や韓国語で成分が記載されていても、その表示だけで日本の法定表示を満たすとは限りません。
また、海外パッケージに記載された効能表現が、日本の化粧品で認められる範囲を超えている場合は、日本向けラベルや販促物で使用できないことがあります。
ラベルを貼る場所にも注意する
日本語ラベルは、表示内容だけでなく、文字の大きさ、読みやすさ、貼付位置なども確認します。
元の表示を隠すことで必要な情報が読めなくなったり、容器のサイズに対して文字が小さすぎたりすると、表示上の問題が生じる可能性があります。
国内でラベル貼付や包装を行う場合は、化粧品製造業許可を持つ施設へ依頼する方法が一般的です。
③必要書類をそろえて輸入・通関する
成分確認や届出、日本語表示の準備が完了したら、商品を輸入します。
税関への輸入申告では、輸入する商品が薬機法に基づく許可や届出の対象として適切に手続きされていることを証明する書類が求められます。
通関時に確認される可能性がある資料には、次のようなものがあります。
・インボイス
・パッキングリスト
・運送書類
・製造販売業許可証の写し
・製造販売届に関する書類
・成分表
・商品の説明資料
・海外製造業者の情報
・必要に応じた試験成績書
輸入申告を通関業者へ依頼しても、薬機法上の製造販売業者としての責任まで通関業者が担うわけではありません。
通関と、化粧品の品質・安全性を管理する製造販売業務は、分けて考える必要があります。
5. 海外コスメを輸入する際の注意点
海外コスメの輸入販売では、手続きだけでなく、商品を継続して安全に販売できる体制が必要です。
①海外メーカーの成分表だけで判断しない
海外メーカーから受け取った成分表に、成分の記載漏れや名称の間違いがないとは限りません。
商品パッケージの成分、メーカーから提出された処方表、製品規格書などに違いがないか確認します。
香料、着色料、植物エキスなどの複合原料については、構成成分まで確認しなければ、日本の基準に適合するか判断できない場合があります。
②品質検査が必要になることがある
海外工場の試験結果があっても、日本国内で販売する製造販売業者として、品質を確認する必要があります。
確認する項目は、商品の種類やリスクによって異なります。
・外観、色、香り
・内容量
・pH
・粘度
・微生物
・安定性
・容器との相性
・ロット間の差
・禁止成分や制限成分
製造販売業者は、出荷する商品が定めた品質基準を満たしているか確認し、国内市場へ出荷するかを判断します。
③海外の広告表現をそのまま使わない
海外ブランドの公式サイトやパッケージに記載されている表現を、日本のECサイトやSNSへ翻訳して掲載することは避ける必要があります。
「治療する」「再生する」「炎症を抑える」などの表現は、海外で使用されていても、日本の化粧品広告では認められない可能性があります。
商品の名称に、医薬品のような効果を連想させる言葉が含まれている場合も注意が必要です。
日本向けの販売名、商品説明、パッケージ、広告をまとめて確認することが大切です。
④処方変更を把握できる契約が必要になる
海外メーカーが成分や原料の仕入れ先を変更しても、日本側へ連絡されないケースがあります。
処方が変更されれば、日本の化粧品基準への適合性や、日本語の全成分表示も再確認しなければなりません。
契約時には、次のような項目を取り決めておくことが重要です。
・処方を変更する際の事前連絡
・原料や製造所を変更する際の連絡
・品質不良が発生した場合の対応
・必要資料の提供
・返品や回収にかかる費用
・知的財産権や販売地域
6. 輸入手続きを自社で行うリスク
海外コスメの輸入手続きを自社で行えば、代行費用を抑えられると考える方もいるかもしれません。
しかし、許可取得や品質管理の経験がない状態で進めると、商品を輸入しても販売できない、通関できないなどの問題が生じる可能性があります。
①仕入れ後に成分不適合が判明する
発注後に、日本で使用できない成分や、配合上限を超えた成分が見つかることがあります。
処方変更ができなければ、商品を日本で販売できず、仕入れ費用や輸送費が損失になる可能性があります。
②通関で商品が止まる
必要な許可証や届出書類を用意できなければ、税関で輸入許可を受けられないことがあります。
貨物が止まっている期間には、保管料などが発生する可能性もあります。
通関できない場合は、返送や廃棄が必要になることもあります。
③表示の修正や貼り直しが発生する
日本語ラベルの内容に誤りがあると、印刷や貼付をやり直さなければならない場合があります。
全成分名の誤り、製造販売業者名の不足、広告表現に当たる不適切な記載など、確認項目は多岐にわたります。
輸入スケジュールだけでなく、ラベル制作や校正に必要な期間も見込んでおく必要があります。
④販売後の品質責任を負う
化粧品の製造販売業者は、輸入時の手続きだけを行う事業者ではありません。
販売後に健康被害や品質不良の情報が寄せられた場合は、内容を調査し、必要に応じて行政への報告や商品の回収などを検討します。
海外メーカーとの連絡、購入者への対応、販売先への連絡を含めた安全管理体制が必要です。
輸入販売では、商品を日本へ入れることよりも、国内で安全に流通させ続ける体制を整えることが重要です。
7. Beauty Creatorsの輸入・輸出サポート
Beauty Creatorsでは、韓国や中国をはじめとする海外工場とのネットワークを活用し、化粧品の企画・製造だけでなく、輸入や輸出に関する手続きもサポートしています。
海外コスメを日本で販売したい場合は、商品の確認から輸入後の流通まで、次のような内容を相談できます。
・輸入予定商品の区分確認
・全成分や処方資料の確認
・海外メーカーへの資料依頼
・日本の化粧品基準との照合
・製造販売届などの手続き
・外国製造業者に関する届出
・日本語表示ラベルの作成
・国内での検品、包装、ラベル貼付
・品質試験や出荷判定
・通関に必要な書類の準備
・販売後の品質・安全管理
・日本から海外へ輸出する際の相談
輸入する商品の国やカテゴリーによって、必要な確認事項は異なります。
韓国、中国、タイ、欧米など、製造国ごとの商習慣や資料形式の違いを踏まえながら、現地メーカーとの調整を進めることが重要です。
①仕入れ前から相談できる
海外コスメの輸入では、商品を発注してから手続きを始めるのではなく、仕入れ前に輸入可能性を確認することが大切です。
Beauty Creatorsでは、商品の成分、表示、メーカーから取得できる資料などを確認し、日本で販売するために必要な対応を整理します。
輸入が難しい商品については、処方変更や日本向けOEMなど、別の方法を検討できる場合もあります。
②輸入後の販売まで含めて相談できる
Beauty Creatorsでは、輸入手続きだけでなく、商品の販路やマーケティングについても相談できます。
日本語パッケージの制作、EC販売、店舗導入、販売促進など、輸入後の展開を見据えた準備が可能です。
海外から商品を運ぶだけでなく、日本で販売できる状態に整え、その後の売り方まで一緒に考えることがBeauty Creatorsのサポートの特徴です。
「海外メーカーと契約する前に輸入できるか確認したい」「許可を持っていないが海外コスメを販売したい」という場合も、企画段階から相談できます。
8. まとめ
海外コスメを日本で販売する場合は、個人輸入とは異なる手続きが必要です。
自分で使用する目的で輸入した化粧品を、ECサイトや店舗、フリマアプリなどで販売することはできません。
販売目的で海外コスメを輸入する際は、主に次の対応が必要です。
・化粧品製造販売業許可などの体制を確保する
・製品ごとの成分と日本の化粧品基準を確認する
・製造販売届や外国製造業者に関する届出を行う
・日本語の法定表示ラベルを作成する
・品質を確認したうえで輸入・通関する
・販売後の品質管理と安全管理を行う
特に重要なのは、海外メーカーへ発注する前に、日本で販売できる商品かを確認することです。
発注後に成分不適合や資料不足が判明すると、処方変更、返送、廃棄などが必要になる可能性があります。
Beauty Creatorsでは、海外コスメの成分確認、法定表示、輸入手続き、品質管理、通関準備などを一貫してサポートしています。
海外コスメを日本で安全に販売したい方は、仕入れや契約を行う前の段階からご相談ください。
参考資料
・厚生労働省「化粧品・医薬部外品等ホームページ」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iyakuhin/keshouhin/index.html
・厚生労働省「化粧品の全成分表示の表示方法等について」 https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00ta7768&dataType=1&pageNo=1
・厚生労働省「化粧品製造(輸入販売)業の許可申請等について」 https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00ta7767&dataType=1&pageNo=1
・PMDA「化粧品外国製造販売業者届書・化粧品外国製造業者届書」 https://www.pmda.go.jp/files/000242885.pdf
・税関「医薬品・化粧品等の個人輸入について」 https://www.customs.go.jp/tetsuzuki/c-answer/imtsukan/1806_jr.htm
・税関「医薬品医療機器等法に基づく輸入規制の税関における確認内容」 https://www.customs.go.jp/tetsuzuki/c-answer/imtsukan/1805_jr.htm
韓国や中国、タイ、欧米などで見つけた化粧品を、日本で販売したいと考える事業者が増えています。
海外ならではの成分やデザイン、ブランドコンセプトは、日本の消費者にとって新鮮な魅力になる可能性があります。
しかし、海外で販売されている化粧品を仕入れ、そのまま日本で販売できるとは限りません。
販売を目的として海外コスメを輸入する場合は、薬機法に基づく許可や届出、成分確認、日本語表示、品質管理などが必要です。
本記事では、個人輸入と販売目的の輸入の違い、海外コスメを日本で販売するための手続き、自社で輸入する際の注意点について解説します。
1. 海外コスメの輸入販売が注目される理由
海外コスメは、日本にはない商品コンセプトやパッケージ、成分設計などを取り入れられることから、新しいブランドや商品の選択肢として注目されています。
特に韓国、中国、タイなどのアジア圏では、SNSとの親和性が高いデザインや、現地の美容トレンドを反映した商品が数多く開発されています。
欧米コスメでは、ブランドの思想やライフスタイルを前面に出した商品、ヴィーガンや自然由来成分などを特徴とする商品も見られます。
①国内商品との差別化を図りやすい
海外で人気の商品を日本で展開することで、国内ブランドとは異なる特徴を打ち出せる可能性があります。
日本ではまだ知られていない成分や剤形、使用方法などが、商品の独自性につながることもあります。
一方、海外で一般的に使用されている成分であっても、日本の化粧品基準に適合するとは限りません。
海外で販売できることと、日本で化粧品として販売できることは別の問題です。
②SNSを通じて需要を確認しやすい
海外ブランドは、Instagram、TikTok、YouTubeなどを通じて、日本で正式販売される前から注目されることがあります。
現地での人気や口コミを確認できるため、輸入前に日本市場での需要を検討しやすい点はメリットです。
ただし、SNSで人気があることだけを理由に大量に仕入れると、日本の法規制に適合せず、販売できない可能性があります。
輸入契約や発注を行う前に、成分や表示、商品の区分を確認することが重要です。
③商品開発にかかる期間を短縮できる場合がある
完成した海外製品を輸入する場合は、ゼロから処方を開発する場合と比べて、商品化までの期間を短縮できることがあります。
ただし、日本向けの処方変更や容器変更、日本語ラベルの制作などが必要になれば、その分の期間や費用がかかります。
日本では使用できない成分が配合されている場合は、現地メーカーに処方変更を依頼しなければならないこともあります。
2. 個人輸入と販売目的の輸入の違い
海外コスメの輸入を考える際は、「個人輸入」と「販売目的の輸入」を区別する必要があります。
個人輸入とは、原則として個人が自分で使用するために海外から商品を取り寄せることです。
一方、輸入した化粧品を店舗やECサイトで販売したり、第三者へ譲渡したりする場合は、販売目的の輸入に該当します。
①個人輸入した化粧品は販売できない
個人使用として輸入した化粧品を、フリマアプリ、ECサイト、店舗、SNSなどで販売することはできません。
無料のプレゼントやサンプルとして第三者へ配布する場合も、販売目的の輸入と同様に薬機法上の確認が必要になる可能性があります。
税関は、化粧品を業として輸入する場合、薬機法に基づく製造販売業などの許可を受けた者でなければならないと案内しています。(関税庁)
少量の輸入であっても、販売や事業利用が目的であれば、個人輸入として扱うことはできません。
②数量が少なければ販売できるわけではない
個人輸入では、一定数量の範囲内で手続きが簡略化される場合があります。
しかし、この数量は本人が使用することを前提としたものです。
「少量だから販売してもよい」「個人名義で輸入すれば許可がいらない」という意味ではありません。
販売目的であれば、輸入数量にかかわらず、必要な許可や届出を確認する必要があります。
③個人事業主でも法的手続きを省略できない
「個人では輸入販売できない」と説明されることがありますが、正確には、個人輸入した商品をそのまま販売できないという意味です。
個人事業主であっても、許可要件を満たして必要な許可を取得する、または許可を持つ製造販売業者へ業務を委託することで、輸入販売を行える場合があります。
ただし、許可取得には人的要件や設備、品質管理、安全管理の体制などが求められるため、商品を仕入れるだけで始められる事業ではありません。
3. 海外コスメを販売するために必要な許可
海外から化粧品を輸入し、日本で市場へ出す事業者には、原則として化粧品製造販売業の許可が必要です。
製造販売業者は、単に商品を輸入する事業者ではありません。
日本国内で販売される商品の品質や安全性に責任を持ち、市場への出荷可否を判断する役割を担います。
①化粧品製造販売業許可
化粧品製造販売業許可は、化粧品を日本国内の市場へ出荷するための許可です。
許可を取得するには、品質管理を行うGQPと、販売後の安全管理を行うGVPに対応した体制を整える必要があります。
また、一定の要件を満たす総括製造販売責任者を配置する必要があります。
事務所を用意して申請すれば取得できるものではなく、責任者、手順書、記録、品質管理体制などが審査されます。
②化粧品製造業許可
輸入した化粧品に、日本国内でラベルを貼る、包装を変更する、検品する、保管するなどの工程を行う場合は、作業内容に応じて化粧品製造業許可を持つ施設が必要です。
海外で完成品として製造された商品であっても、日本語ラベルを国内で貼付する工程は、薬機法上の製造行為に該当する場合があります。
そのため、許可のない一般的な事務所や倉庫で、輸入後に自由にラベルを貼ればよいとは限りません。
③化粧品製造販売届
一般的な化粧品は、製品ごとに承認を受ける仕組みではなく、製造販売を開始する前に販売名などを届け出ることが基本です。
輸入品の場合は、輸入先の国名、海外の製造業者、海外で使用されている販売名なども確認します。
厚生労働省の通知では、実際に製造または輸入する前に、個々の製品について販売名を届け出る取り扱いが示されています。
④外国製造業者に関する届出
海外の工場や事業者について、化粧品外国製造業者届書または化粧品外国製造販売業者届書が必要になる場合があります。
現地メーカーから正確な会社情報や工場情報を取得できなければ、手続きを進められない可能性があります。
4. 海外コスメを日本で売るための3つのステップ
海外コスメを日本で販売する際は、許可を持つ事業者を決めたうえで、成分確認、日本語表示、輸入・通関の順に進めます。
ここでは、実務上の主な流れを3つのステップに分けて解説します。
①日本の化粧品基準に適合するか成分を確認する
最初に、輸入する商品の全成分と配合量を海外メーカーから取得します。
成分表には、商品パッケージに記載されている名称だけでなく、各成分の正式名称、配合目的、配合量などの情報が必要になる場合があります。
確認する主な項目は次のとおりです。
・日本で化粧品への配合が禁止されている成分がないか
・配合量に上限が設けられている成分がないか
・防腐剤、紫外線吸収剤、タール色素などが基準に適合しているか
・医薬品や医薬部外品に該当する成分・効能ではないか
・日本で化粧品として認められる使用方法か
・成分の安全性や品質を確認できる資料があるか
日本の化粧品基準では、配合禁止成分や配合制限成分などが定められています。
海外メーカーから配合量を開示してもらえない場合、日本への輸入販売が難しくなることもあります。
商品の仕入れ契約を結ぶ前に、日本向けの成分資料を提供してもらえるか確認することが重要です。
化粧品ではなく医薬部外品に該当する場合がある
海外ではコスメとして販売されていても、効能や成分によっては、日本で医薬部外品や医薬品に該当する可能性があります。
例えば、育毛、ニキビの防止、美白などの効能を標榜する商品は、化粧品としてそのまま販売できるとは限りません。
医薬部外品に該当する場合は、原則として品目ごとの製造販売承認が必要となり、一般化粧品とは手続きが異なります。
②日本語の法定表示ラベルを作成する
日本で化粧品を販売する際は、薬機法などに基づく表示を、日本の消費者が確認できるように記載します。
一般的に確認が必要な表示項目には、次のようなものがあります。
・販売名
・内容量
・全成分
・製造販売業者の名称と住所
・製造番号または製造記号
・使用期限が必要な製品の使用期限
・使用上または保管上の注意
・原産国名
・問い合わせ先
全成分は、原則として邦文名を使用し、配合量の多い順に表示します。
厚生労働省の通知でも、成分名称を邦文名で記載し、原則として配合量の多い順に表示する方法が示されています。
海外パッケージに英語や韓国語で成分が記載されていても、その表示だけで日本の法定表示を満たすとは限りません。
また、海外パッケージに記載された効能表現が、日本の化粧品で認められる範囲を超えている場合は、日本向けラベルや販促物で使用できないことがあります。
ラベルを貼る場所にも注意する
日本語ラベルは、表示内容だけでなく、文字の大きさ、読みやすさ、貼付位置なども確認します。
元の表示を隠すことで必要な情報が読めなくなったり、容器のサイズに対して文字が小さすぎたりすると、表示上の問題が生じる可能性があります。
国内でラベル貼付や包装を行う場合は、化粧品製造業許可を持つ施設へ依頼する方法が一般的です。
③必要書類をそろえて輸入・通関する
成分確認や届出、日本語表示の準備が完了したら、商品を輸入します。
税関への輸入申告では、輸入する商品が薬機法に基づく許可や届出の対象として適切に手続きされていることを証明する書類が求められます。
通関時に確認される可能性がある資料には、次のようなものがあります。
・インボイス
・パッキングリスト
・運送書類
・製造販売業許可証の写し
・製造販売届に関する書類
・成分表
・商品の説明資料
・海外製造業者の情報
・必要に応じた試験成績書
輸入申告を通関業者へ依頼しても、薬機法上の製造販売業者としての責任まで通関業者が担うわけではありません。
通関と、化粧品の品質・安全性を管理する製造販売業務は、分けて考える必要があります。
5. 海外コスメを輸入する際の注意点
海外コスメの輸入販売では、手続きだけでなく、商品を継続して安全に販売できる体制が必要です。
①海外メーカーの成分表だけで判断しない
海外メーカーから受け取った成分表に、成分の記載漏れや名称の間違いがないとは限りません。
商品パッケージの成分、メーカーから提出された処方表、製品規格書などに違いがないか確認します。
香料、着色料、植物エキスなどの複合原料については、構成成分まで確認しなければ、日本の基準に適合するか判断できない場合があります。
②品質検査が必要になることがある
海外工場の試験結果があっても、日本国内で販売する製造販売業者として、品質を確認する必要があります。
確認する項目は、商品の種類やリスクによって異なります。
・外観、色、香り
・内容量
・pH
・粘度
・微生物
・安定性
・容器との相性
・ロット間の差
・禁止成分や制限成分
製造販売業者は、出荷する商品が定めた品質基準を満たしているか確認し、国内市場へ出荷するかを判断します。
③海外の広告表現をそのまま使わない
海外ブランドの公式サイトやパッケージに記載されている表現を、日本のECサイトやSNSへ翻訳して掲載することは避ける必要があります。
「治療する」「再生する」「炎症を抑える」などの表現は、海外で使用されていても、日本の化粧品広告では認められない可能性があります。
商品の名称に、医薬品のような効果を連想させる言葉が含まれている場合も注意が必要です。
日本向けの販売名、商品説明、パッケージ、広告をまとめて確認することが大切です。
④処方変更を把握できる契約が必要になる
海外メーカーが成分や原料の仕入れ先を変更しても、日本側へ連絡されないケースがあります。
処方が変更されれば、日本の化粧品基準への適合性や、日本語の全成分表示も再確認しなければなりません。
契約時には、次のような項目を取り決めておくことが重要です。
・処方を変更する際の事前連絡
・原料や製造所を変更する際の連絡
・品質不良が発生した場合の対応
・必要資料の提供
・返品や回収にかかる費用
・知的財産権や販売地域
6. 輸入手続きを自社で行うリスク
海外コスメの輸入手続きを自社で行えば、代行費用を抑えられると考える方もいるかもしれません。
しかし、許可取得や品質管理の経験がない状態で進めると、商品を輸入しても販売できない、通関できないなどの問題が生じる可能性があります。
①仕入れ後に成分不適合が判明する
発注後に、日本で使用できない成分や、配合上限を超えた成分が見つかることがあります。
処方変更ができなければ、商品を日本で販売できず、仕入れ費用や輸送費が損失になる可能性があります。
②通関で商品が止まる
必要な許可証や届出書類を用意できなければ、税関で輸入許可を受けられないことがあります。
貨物が止まっている期間には、保管料などが発生する可能性もあります。
通関できない場合は、返送や廃棄が必要になることもあります。
③表示の修正や貼り直しが発生する
日本語ラベルの内容に誤りがあると、印刷や貼付をやり直さなければならない場合があります。
全成分名の誤り、製造販売業者名の不足、広告表現に当たる不適切な記載など、確認項目は多岐にわたります。
輸入スケジュールだけでなく、ラベル制作や校正に必要な期間も見込んでおく必要があります。
④販売後の品質責任を負う
化粧品の製造販売業者は、輸入時の手続きだけを行う事業者ではありません。
販売後に健康被害や品質不良の情報が寄せられた場合は、内容を調査し、必要に応じて行政への報告や商品の回収などを検討します。
海外メーカーとの連絡、購入者への対応、販売先への連絡を含めた安全管理体制が必要です。
輸入販売では、商品を日本へ入れることよりも、国内で安全に流通させ続ける体制を整えることが重要です。
7. Beauty Creatorsの輸入・輸出サポート
Beauty Creatorsでは、韓国や中国をはじめとする海外工場とのネットワークを活用し、化粧品の企画・製造だけでなく、輸入や輸出に関する手続きもサポートしています。
海外コスメを日本で販売したい場合は、商品の確認から輸入後の流通まで、次のような内容を相談できます。
・輸入予定商品の区分確認
・全成分や処方資料の確認
・海外メーカーへの資料依頼
・日本の化粧品基準との照合
・製造販売届などの手続き
・外国製造業者に関する届出
・日本語表示ラベルの作成
・国内での検品、包装、ラベル貼付
・品質試験や出荷判定
・通関に必要な書類の準備
・販売後の品質・安全管理
・日本から海外へ輸出する際の相談
輸入する商品の国やカテゴリーによって、必要な確認事項は異なります。
韓国、中国、タイ、欧米など、製造国ごとの商習慣や資料形式の違いを踏まえながら、現地メーカーとの調整を進めることが重要です。
①仕入れ前から相談できる
海外コスメの輸入では、商品を発注してから手続きを始めるのではなく、仕入れ前に輸入可能性を確認することが大切です。
Beauty Creatorsでは、商品の成分、表示、メーカーから取得できる資料などを確認し、日本で販売するために必要な対応を整理します。
輸入が難しい商品については、処方変更や日本向けOEMなど、別の方法を検討できる場合もあります。
②輸入後の販売まで含めて相談できる
Beauty Creatorsでは、輸入手続きだけでなく、商品の販路やマーケティングについても相談できます。
日本語パッケージの制作、EC販売、店舗導入、販売促進など、輸入後の展開を見据えた準備が可能です。
海外から商品を運ぶだけでなく、日本で販売できる状態に整え、その後の売り方まで一緒に考えることがBeauty Creatorsのサポートの特徴です。
「海外メーカーと契約する前に輸入できるか確認したい」「許可を持っていないが海外コスメを販売したい」という場合も、企画段階から相談できます。
8. まとめ
海外コスメを日本で販売する場合は、個人輸入とは異なる手続きが必要です。
自分で使用する目的で輸入した化粧品を、ECサイトや店舗、フリマアプリなどで販売することはできません。
販売目的で海外コスメを輸入する際は、主に次の対応が必要です。
・化粧品製造販売業許可などの体制を確保する
・製品ごとの成分と日本の化粧品基準を確認する
・製造販売届や外国製造業者に関する届出を行う
・日本語の法定表示ラベルを作成する
・品質を確認したうえで輸入・通関する
・販売後の品質管理と安全管理を行う
特に重要なのは、海外メーカーへ発注する前に、日本で販売できる商品かを確認することです。
発注後に成分不適合や資料不足が判明すると、処方変更、返送、廃棄などが必要になる可能性があります。
Beauty Creatorsでは、海外コスメの成分確認、法定表示、輸入手続き、品質管理、通関準備などを一貫してサポートしています。
海外コスメを日本で安全に販売したい方は、仕入れや契約を行う前の段階からご相談ください。
参考資料
・厚生労働省「化粧品・医薬部外品等ホームページ」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iyakuhin/keshouhin/index.html
・厚生労働省「化粧品の全成分表示の表示方法等について」 https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00ta7768&dataType=1&pageNo=1
・厚生労働省「化粧品製造(輸入販売)業の許可申請等について」 https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00ta7767&dataType=1&pageNo=1
・PMDA「化粧品外国製造販売業者届書・化粧品外国製造業者届書」 https://www.pmda.go.jp/files/000242885.pdf
・税関「医薬品・化粧品等の個人輸入について」 https://www.customs.go.jp/tetsuzuki/c-answer/imtsukan/1806_jr.htm
・税関「医薬品医療機器等法に基づく輸入規制の税関における確認内容」 https://www.customs.go.jp/tetsuzuki/c-answer/imtsukan/1805_jr.htm
